ゆいまわる勉強会|子どもの発達の理解
本日の講師は 沖田直子さん
ゆいまわるに和歌山県からきてくれたゆいまわるの強いスタッフです。
7月から一緒に働いています。
今日の学びのポイントは
■ 発達性協調運動障害 DCD (Developmental Coordination Disorder)
■ 継次処理能力と同時処理能力
《発達性協調運動障害 DCD》
− 約6%のお子さんにみられる(男児>女児)
− ADHDのお子さんの55.2%にDCDがみられる(DAMP)
− ADHDのお子さんよりもDAMPのお子さんのほうが抑うつや非行になりやすい。
□ どうしてうつ・非行になりやすいの?
ただの不器用だと思われたり,努力不足と評価されやすく,
練習を繰り返しするように指導される傾向にある。
そのため「自分はだめなんだ」「なんで僕はできないんだ」
と悩み自己肯定感を持ちにくいようです。
確かに繰り返し練習すれば少しづつ習得していけますが,その習得に至る労力や,できた!できそうだ!と感じる「出来るための手がかり」を感じ取れないままの繰り返し練習は苦痛しかありませんね・・・。
DCDをもちながら頑張っている子をこちらがわかることも重要なようです。
□ 具体的に困る学校生活
A.協応調性(枠の中に線を引いたり,線の上を歩行するような目で見た情報に身体や運動を合わせること。左右の運動の切り替えや,口の中の運動のような目では確認できない身体の運動など)
B.非言語指標(複数書かれている図形から△や◻など図形だけを視覚的に捉えられるか,支持理解や復唱,記憶など)
C.複合課題(見本通り積み木を構成出来るかなどの構成,自分の体を理解しているか,相手を見ながら模倣できるか,
両方に支障があると書字や読み書きに困難を生じる傾向にあるそうです。
A−B
書字や読みが苦手なお子さんが多い。
B-C
算数が苦手なお子さんが多い。
⬆この知識は,国語や算数が苦手なお子さんの「困っていること」を理解知るためにも重要ですが,何よりも算数や国語が苦手なお子さんにならないための,幼少時期の育ちを地域で支えられることが重要だと思います。
保育所や子育て支援にも関われるゆいまわるの役割を生かして,先生たちと育める地域づくりに活かしたいですね。
□ 子ども達の育ちを支える関わり
子ども達が学校や地域で期待されることに,不安なく,やったことが”経験”として蓄積し確実に育ちに繋げられるために,それを育てるための関わり方についても説明がありました。
現在様々なOTがその関わりによる書字の変化や,音読の変化を研究していますね。以前高畑OTが沖縄に来て話してくれたこととつながって,スタッフみんなで「なるほど!」とよくわかりました。
□ CO-OP ( The Cognitive Orientation to daily Occpational Performance )
子ども達のできた!わかった!をバネに成長を支えます。
こちら(支援者)がやれるように指導するのではなく,子供と一緒に作戦会議をして戦略を練っていく。その関係の中では支援する側される側ではなく,ともに考える関係。
『失敗』は不安ではなく,戦略を練って挑んだ時に出来ることと出来ないことがわかるに過ぎないので,傷つくことなくチャレンジし続けることにエネルギーを注げます。
沖田さんより学校現場で応用できる環境調整や関わり方の提案もたくさん教えてもらいました。当事者の方の意見や思いも教えてもらい,
学校で辛い思いだけで過ごさず,「出来た!」「やった!」がたくさんある学校生活づくりの重要性を感じました。
− 指標があることが重要。
− ただ”構えて”ではなく”砂をすくうように構えて”と言われればすぐわかる。
− 自動化するとその活動へのストレスはなくなる。
などなど,学校生活のヒントもたくさんあるようです。
《継次処理能力と同時処理能力》
継次処理能力:支持されたことや文章を提示された通り(順)に処理していく力。
同時処理能力:複数の情報を同時に処理する能力。
◻ 継次処理能力と同時処理能力の得意さに合わせた勉強の方法
今日は子ども達の困り感の背景を学びましたが,この知識をそのまま活用するのではなく,私達は先生の届けたい教育の実現のための一つの情報として活用していけたらと思います。
また,保育園や子育てのまちづくりにも生かしていけるのではないかと思います。