コンサルテーションに必要な知識①|地域子ども総合支援者(インクルーシブ教育推進OT)養成講座 第6回
講師:東京工科大学 准教授 作業療法士 友利幸之介先生
実践で基礎となる視点をたくさん話してくださいました。
受講者は作業療法士や学校の先生、保護者、心理士、保育士などなど。
そこで、友利先生はアニメーションで描かれた映像でADHDの男の子の生活を
最初に見せてくれました。
男の子は、
●朝が起きられない
●準備の途中で部屋にある漫画が気になり、読み始める準備ができない
●忘れ物が多く、準備の途中で読み始めた漫画をカバンに入れている
先生に怒られると、「お母さんがカバンの中に入れたんだよ。」という
●授業中では「51+34は85だ!」と解いている問題を声にだす
●数字が人の顔に見えてくるような気がして、落書きして先生に怒られる
*日頃、よく見る光景のお子さんを題材に考える切り口をいろんな視点から見ることが大切!
各モデル(個人・医学・生活・社会)は、医療や福祉・行政のそれぞれの立場から情報を把握して関わっているので、決して対立するのものではない。
その子が個人モデルでハンディーキャップがあったとしても、生活モデルで直接的に
解決していくことができる。状況に応じて、適宜の情報を統合していく。
その共通原語となるものが「ICF」(国際生活機能分類)である。
■ ICFができるまで
*国際疾病分類を死亡率も含めて、疾病を整理していく為に作られた。
●ICIDH;障害の分類(一直線でわかりやすいモデル)
→障害が治らないと生活が成り立たない、社会で生きていくすべが見つからない。
●ICF;生活機能の分類
→健康を考える上で必要な要素が挙げられている。いろんな側面から捉えて、
生きていくすべを考えていくことができる。
例)注意がそれやすい特徴があるのは、賑やかな教室の雰囲気も影響している。
■ 活動には意味と目的がある!
●対象のお子さんが環境に適応しにくい
●意味:その子ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていること
●手段:手の器用さを伸ばしたい時に手芸を取り入れる
例①ハサミを使って練習する:ハサミを使うコツを教えながら実際に使う
例②その子に合った環境(使いやすい手にあったはさみ、切りやすい紙を使用する等)
*例えば「トイレができるようになってほしい」という発言がでてきたとします。なぜ、トイレができるようになってほしいのか尋ねるとこう答えました。
・Aさんは「おしっこを漏らすと、学校の生活の中で困る。」
・Bさんは「トイレに割かれる時間が長くなり、休み時間に友達と遊べない。」
Aさんへの関わりではトイレトレーニングをはじめ、Bさんへは休み時間の過ごし方を一緒に考えることになるでしょう。
同じ「トイレができるようになってほしい」という発言も、目的によって関わり方が変わってきます。
■ 学校コンサルテーションに必要な知識
●目標は作業に焦点を当て続けることが大切で、希望と目標と成果を統一する
●目標設定がもたらす効果としては簡単な目標よりも、難しい目標の方が達成できなかったとしても高いパフォーマンスが期待できる
●具体的な目標設定や具体的なフィードバックして話を進めて連携をする
講義の中で、 へぇ~となるようなお話もありました。
ストップウォッチを5秒で止めるゲームをするときに自分で選んだストップウォッチを使う群と渡されたストップウォッチを使う群と分けて実験したそうです。
すると、意思決定やモチベーションを司る脳の部分が活性化されたそうです。
自分自身で決めることが大事なようです。
目標もみんなで一緒に決めるときには同意ではなく、合意「一緒に作って決める」ことが大切であるとおっしゃっていました。
講義後に、ゆいまわると関わってくださる先生が
「普段見ている魔法(子どもの変化)は、ちゃんと理論があったんですね。」と目を輝かせてくださり大変嬉しかったです。
他職種と一緒に勉強をすることで共通言語や大切にすることを学ぶ機会が今後も続くことに、さらに絆が深まっていく感じがして、楽しみです。