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作業療法の基礎的理論|地域子ども総合支援員(インクル推進OT)育成講座 第7,8回

人生は作業の連続であり、人は作業の集合である

作業療法士の齋藤佑樹先生(いつもは齋藤さんとお呼びしているのでここでも)

私達ゆいまわるの臨床の土台の一つに「作業科学」があります。

人を捉え,人がすることを捉え,人が所属する環境を捉える時の,枠組みのメガネです。

このベースをしっかりと学ぶことで,学校作業療法を進めていくときにブレることなく,物事を理解していくことができます。私個人的にはその難しいベースを,世界一優しく,解りやすく教えてくれる人は齋藤さんだと思っています。先日ご参加いただいた皆様にはその思い伝わったと思います。

■ 作業ってなんだろう?

作業の意味:その人にとって意味は階層構造を持っている:聞かれる人によってどの深さまで作業の意味を話すか変わってくる。

作業の形態:その人のやり方、こだわりがある。その形態にはその人の作業の意味を満たすためにその形態に築き上げられたものでもある。「便利」「効率がいい」「安全」といった支援者や社会的な一般的な観点で形態を簡単には変えられないのである。

作業の機能:その作業がその人にポジティブな影響、ネガティブな影響など様々な影響を与える。

作業バランス:好きだからずっとやれたら健康(快適)かというわけではない。義務願望作業(すべきこと×やりたいこと)が多くの生活の時間を占めていたら、生活に充実を感じるかもしれないし、

■ 作業機能障害

その人にとって大切な作業ができない状況。ここの視点を知ると子どもたちの生活もガラッと変わって見えてきますので、ブログでは学校の事例を入れて説明しましょう!

<作業不均衡---日々の作業バランスが崩れている状況>

[例]

「字を書くことがとっても辛い」男の子。1~6校時まで国語や算数、理科や社会においても字を書くことが求められ授業は苦しいなと思う作業に感じているかもしれません。休み時間には書き遅れたノートを仕上げるために費やし、放課後は日々できない勉強の居残りで潰れ、男の子の大好きなバスケットの時間が持てない状況でした。男の子は授業中ふらふら離席するようになりました・・・。

>>授業中の離席はその授業に課題があると思われがちですが、このように1日の作業バランスの崩れからも出ることがあります。

<作業剥奪---外的要因によって作業ができない状況>

[例]

友達と一緒に勉強したい!2年2組の友達大好き!という男の子がいました。男の子は落ち着くことが苦手で授業中はガタガタ椅子を動かして遊びも止まりません。感情コントロールも苦手で友達とも喧嘩になってしまいます。先生とお母さんが話し合い「もう少し落ち着けたら授業中注意されず、友達とも仲良くできるからね」と支援学級で過ごすことになりました。男の子が言います「僕はいつ2年2組の友達と勉強ができるの?」男の子は学校に行きたくないと言いました。

>>先生や親がその子の力に合わせて良かれと思って行う環境調整ですが、その子にとって学校生活に様々な意味のある作業があります。その意味が環境調整で満たされなくなると、その子は不健康になり、学校に行くこともできなくなる恐れもあるのです。

<作業疎外---自分のせいで作業をコントロールできない状況>

[例]

学校で友達と楽しく遊びたい!と願っている5年生の男の子がいました。でも男の子は力の調整が苦手で、友達と遊ぼうとするといつも友達を殴ってしまいます。男の子自身もどうして叩く結果になったのかわからず、いつまでたっても友達と楽しく遊べず、むしろ「お前は乱暴者だ」と周囲に言われて学校に行っても楽しくない日々を送っています。

>>子どもたちは自分のやりたいことを沢山持っていますが、学校というルールがあり、友達や先生など相手の世界と交じり合いながらその作業をしようとした時にうまくできないことがあります。結果的に「乱暴」「殴った」という結果で表現されますが、そのバックグラウンドにはやりたいのにできない苦しい思いが存在いします。

<作業周縁化---多くの人が価値を認めるような作業が行えない状況>

[例]

「僕は集団の中で活動することがとても苦手。でも魚釣りは誰よりも上手だし、木の枝一本あれば竿だって作れるんだ!」

・・・でもそれって学校生活では一度も求められない。それができたって学校で認められないし、学校には釣りができるところもない。

>>学校生活に存在する作業(授業、当番活動、休み時間友達と過ごす 等)が必ずしも全ての子どもたちができることとは限りません。そして子どもたちができる!と有能感を感じる作業が学校生活と結びつけてくれるではないこともあるのです。

■ P-E-Oモデル、CMOP-Eモデル、CMCE

作業療法のベースとなる理論を説明してくださいました。このモデルは私も学校作業療法の臨床において、常に頭のど真ん中においている理論です。

CMCE(適応代弁コーチ協働相談調整デザイン実行教育結びつけ・特殊化

においては、現場で一緒に取り組みをさせていただいている先生は「あーこれ使ってるんだな」と感じられたのではないでしょうか。そう、学校訪問の時にゆいまわるで行う実践はこのCMCEです。

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